農業のはじめ方図鑑 | farmer's 【ファーマーズ】

新規就農。新しい人たちの農業へのチャレンジ。

さいきん就農する人の話をよく耳にするけど実際のところどんな感じなんだろう…大変そうだけど…
ここでは最近就農した方、農業を仕事して始めた方たちに就農のキッカケや大変だった事、良かった事などをお話しをお聞きしました。

いきなり成功するのは難しい。まずは少しずつやってみないとわからないし、前へすすめない。
桐原紘太郎(31歳)はこう語る。

桐原が農業をはじめたのは昨年の夏。
それまでは東京の南青山という都会ど真ん中に住むクリエイター(アートディレクター/グラフィックデザイナー)だった。
一見すると農業と一番遠い位置にいた桐原さんは現在もクリエイターの仕事をしつつ
福岡県の糸島で農業にチャレンジしはじめている。

「人とのつながり」が糸島での就農に繋がった

糸島市は、福岡県の最西部に位置し、玄界灘に面した糸島半島を有する自然豊かなまち。
近年は福岡市のベッドタウンとしても栄えている。

そんな糸島で桐原が農業をはじめた理由・・・それが「人」だ。
学生時代に米国に留学していた際にお世話になった方が糸島出身の方。
そして、そこから糸島との付き合いがはじまる。

毎年のように訪れて、糸島のみなさんとのふれあっていく中で、この土地の魅力を
感じつつ、心の奥底で糸島への移住が芽生え始めていった。
私と同じように別のところから来た先輩住民が、地元になじみ、地元のみなさんと
交流し、貢献しながら、農業をしている姿があり、ひとつの目標ともなった。
そして糸島での就農を模索しはじめる。

農地も農具もノウハウもまわりのみなさんに

当初、農業に関する知識はほとんどなかったという。
そこでまず様々な文献を読みあさった。知識がまったく無いと、質問すら出来ない。
農業をやっている方にも失礼にあたると考え、出来る範囲で独学で知識を蓄えた。

<桐原さんおすすめの書籍>

しかし、実際のところ、机上の理論どおりにいくわけではないのが農業。
次は、糸島の知り合いに様々な質問をして、実際に農業をはじめて、
そしてまたまわりの方に質問して・・・と、繰り返して少しずつ農業の知見をためている。

農地は地区内の耕作していなかった土地を広くは無いが知人を介して貸してもらうことが出来た。
もちろん、収益的には土地は広いにこした事はないが、自分の目と手がしっかりと届く広さで
いろいろとチャレンジをして、そこでの経験をもとに少しずつ広げていく予定だそうだ。

自然農との出会い

糸島で就農したのには、人のつながりからだった。
しかし、糸島には農業におけるもうひとつの見所があった。
それが「自然農」である。

糸島には松国ほのぼの農園や村上農園など優れた自然農農家が多数存在する。
自然農とは「耕さず、肥料農薬を用いず、草々虫を敵としない、自然と添う農業」で
従来の農業の考え方とは全く異なるものだが、作物に無理をさせていないため
自然のおいしさが出るそうだ。
安心・安全で自然の力を活かした農法に桐原は惚れ込み、糸島での自然農による
就農を決めたのであった。

<参考サイト>

新規就農と家族の理解

一般的に新規就農するといっても家族の協力なしにはなかなか実現できない。
その点はどうだったのだろうか。

原発事故と子供が出来てから意識が変わった。
やはり自然があるところで活き活きと暮らし、子供にも安心・安全なものを食べさせたい。
デザイン関係の仕事も引き続き行いながら、就農することで生活への不安も軽減できた。
ネットがある今だからこそ、就農できたと桐原は語る。

最近驚いたことがあるという。子供が力強くなった気がするそうだ。
東京にいたときは外で遊ばせることは少なかったんが、糸島に来てからは
土の上で走り、遊び、生きていると、子供にとってはこれが「自然」なことかもしれないと思ったそうだ。

妻に対しては心配かけた部分もやはりある。ただ、ここから福岡市内までも
車で30分ほどと交通の便もよく、福岡空港までも1時間程度。

ネット通販等もいろいろとある昨今なので、当初考えていた不便さはほとんどない。

子供も妻も、まわりの方々とのコミュニケーションによって、様々な面で助けられているとのこと。
まわりの方や仲間の協力があってこそだと桐原は言う。

一歩ずつ、ゆっくりとしっかりと。

農業をはじめたばかり。結果も収穫もまだ少しだけだが希望が桐原にはしっかり見えているようだ。

すぐすぐに農業で生計を立てようとは考えていない。
まずは、デザイナーの仕事をクラウドソーシング的にやりながら
少しずつ農業の深さ、おもしろさを知りつつ、農地を広げていきたいと言う。
そして、その中でいろんな仲間や新しいチャレンジが出来ればと笑う。

桐原みたいな新しい農業人が増えると、農業も違った一面が見えて来るのかもしれない。

<取材後記>

取材をさせていただいて、従来のような古いイメージの農業人ではなく、これからの時代の兼業農家、いやハイブリッド農家としての可能性を垣間見られた気がします。
また、人を引き寄せる魅力がたっぷりの桐原さんはこれからもいろんな人と新しい農業の形を見つけ、つくりだしていくと確信しました。

また、夏頃に追加取材をさせていただき、素敵な農業の姿をご紹介したいと思います。

桐原さんありがとうございました。

(取材:farmer's編集部 松浦 眞哉)

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